2010年12月05日

俺妹がおもしろい!だけど、思わず舌打ちしたくなる。だって桐乃はオナニーしないだろうが

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 (電撃文庫)伏見 つかさ かんざき ひろ

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今期アニメナンバーワンとも言われている『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』。

原作小説については、アニメ放映前に一巻だけ読んだ。
とてもおもしろかった。

容姿端麗、学業優秀、陸上部でも優秀な成績を収め、あげくはモデル業までこなす、という妹が実はオタク趣味をもっていて、その秘密に悩んでいる。
という筋書きだけとれば、まんま、乃木坂春香の秘密である。
いや、もうほとんどパクリと言ってもいいくらい、構造が似ている。

だけど、乃木坂よりも、俺妹のほうがはるかに面白いのである。
その面白さがなんなのかといえば、ディテールによるものだ。

乃木坂は、そもそもあまりオタク的ディテールがそうとうに甘い部分があって、この作者はオタクじゃないんじゃないかという思いが禁じ得なかった。

俺妹はそこらへんのディテール、たとえば、オタク的言葉遣いだとか、キャラ設定だとかが、秀逸だ。
一巻発売当時は、かーずSPなんかのニュースサイトの名前が出ていることでも話題になったけれど、そうした、ディテール、情報の詰め込みは乃木坂とは比べ物にならない。
だから、あなたがオタク的文化圏にいるのであれば、読んでいるとくすくす笑いが思わずこみあげるだろう。

シチュエーションコメディとしては、文句なく、よくできた小説であると断言できる。
しかし、小説を読んだときにどうしても感じずにはいられなかった疑問があって、それが、結局、続刊にまで手が伸びなかった理由である。

そして、アニメが放映され、それを視聴していると、やはり、小説を読んでいたときの疑問が再燃してしまったので、ここにそれを記しておく。

俺妹のシチュエーションコメディとしての面白さというのは、スクールカーストで最上位に位置しているはずの妹(桐乃)が、実はエロゲ、アニメ好きという『恥づべき』趣味を持っているというところにある。
つまり、そのギャップによるドタバタで笑いを生み出すという構造になっている。

それはいいのである。
しかし、主人公である兄が『オタクを差別するのはよくない』みたいな説教をするのである。
それが、まったく心に響かないし、見ていて薄ら寒いような印象すらうける。

たとえば、桐乃が親友であるあやせという女の子に、自分のエロ同人誌を見られてしまい、絶交されるというシーンがある。
あやせは『オタク趣味は性犯罪に繋がると、マスコミで言われていたから』という理由で、桐乃の趣味を糾弾する。
ちなみに、ここで出てくるエロ同人誌は、プリキュアのような幼児向けアニメのそれらしい。

それに対して、兄はそのマスコミ報道が根拠のないものであることを示し、あやせに桐乃のオタク趣味を認めさせるというシークエンスがあるんだけど、この薄ら寒さといったらない。

というのも、ここであやせによって問題とされているものは、作中でなにも問題ではないからだ。

そもそも、エロ同人誌を嬉々として見ている桐乃は女じゃないか。
ということは、桐乃はプリキュアのエロ同人誌でオナニーはしないのである(たぶん)。

しかし、現実のオタク、たとえば、プリキュアのエロ同人誌でオナニーする男というのは確実に存在している。そして世間が気持ち悪がっているのは、そういう男たちであるはずだ。
もちろん、そうしたオタク男たちがすぐさま性犯罪に走るというわけではない。そりゃ、少数のオタクは性犯罪に走るだろうが、それがオタク趣味に起因するものなのかどうかが疑問の余地があるところだってのは、さんざん議論されてきたことだから、ここでは置いておく。

しかし、世間がプリキュアの同人誌でオナニーする男達を気味悪がるのは、そりゃ当然のことだろう。
ロリコン趣味を毛嫌いするのも、そりゃしかたのないことだ。
それが法的に規制すべきものであるとは思わないけれど、気味悪いと思うのをやめろとは言えないだろう。
オタクたちが、そうした世間との折り合いをどうやって取るべきなのかっていう問題はたしかにある。

しかし、俺妹で提出される問題は、こうした問題とはなんらつながりがない。
桐乃は女だから。

シチュエーションコメディを作劇するために、桐乃を女で完璧超人にしてしまったことの弊害ってのは、説教シーンでたえがたい矛盾としてあらわになってしまう。

そもそも、オタクが差別されるのは、ただ単にアニメ好き、エロゲ好きっていうことに起因するのではなく、スクールカーストで最下位に位置している連中が、アニメ、エロゲに夢中になっているという、二つの要素が混合されたところからくるものだろう。

そういう意味でも、桐乃の問題というものは、オタクたちの問題とは関係ない。

俺妹が純粋にシチュエーションコメディとして作られていたら、本当に好きな作品になっていただろうなあとつくづく残念だ。
もっとも、ストーリーテリングとして、終盤に盛り上がりがほしいっていう意味で説教シーンをいれているんだろうなってことはわかるんだけどね。



posted by YenGood at 15:32 | Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月04日

新ポリス・ストーリー シリアスとジャッキーの食いあわせはすこぶる悪い

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評価 ☆☆(五段階)

ジャッキー・チェン主演のアクション映画。
新・ポリスストーリーとはなっているが、ポリスストーリーシリーズとは別物。

最後の字幕でわかったのだけれど、これは実際にあった誘拐事件を題材にしているらしい。

そうなんだとわかってみれば、見ている最中のさまざまな疑問も氷解しようというものだ。

なにせ、この映画はジャッキー・チェンらしさというものが皆無とは言わないまでも、そうとうに薄いのである。

やけに深刻ぶったストーリーテリング。
たとえば、最初のシーンは、ジャッキー演じる警官のカウンセリングから始まる。
なんでも、ある事件のPTSDに悩まされているらしい。
この例でもわかるように、ジャッキーらしいコミカルな演技はまったくない。

腐った世の中で、人間は正義を貫くことができるのかというテーマが全編にわたって展開される(しかし、そのテーマの語り口は薄い)。

しかもボスキャラがただのデブ。
サモ・ハン・キンポーのような動けるデブではなく、アクション俳優としては使えない、ただのデブ。

つまり、この映画はサスペンス要素を重視しているらしい。
だが、そのサスペンス要素が上手く生かされているかというと、それははなはだ疑問。

ストーリーに斬新さがあるわけでもないし、また、実話を基にしているがゆえのリアリティがあるわけでもない。
凡庸としか言いようがない内容だ。

ただ単に、シリアスである、というだけ。

しかも、そのシリアスであるという要素すら、ジャッキーのアクションによって、ないがしろにされている印象がある。

ジャッキーのたとえば、椅子を使ったアクション。
ああいう、さまざまな小道具を使うアクションというのは、どうしてもコミカルになってしまうのであり、そのコミカルであることこそがジャッキーの最大の魅力だ。
しかし、こういうシリアスな映画でそれをやられると、ふざけているのかとしか思えなくなる。

まあ、名作「蛇拳」なんかも、ストーリーはシリアスといえばシリアスなんだけど、そこはやっぱり、蛇拳という中国拳法独特のコミカルさ、また胡散臭さがあって、要素どうしがうまくはまっていた。

つまり、この題材で、ジャッキーが主演というのは、どう考えてもとち狂っているのであり、そもそもの企画に無理がありすぎだろう。
タグ:星2つ
posted by YenGood at 22:49 | Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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