2012年06月30日

真壁 昭夫著「最強のファイナンス理論」のまとめ

行動ファイナンス理論とは?
・伝統的なファイナンス理論でアノマリー、ノイズとみなされ、意図的に無視されてきた市場の動向を、人間の心理的状況を分析することによって、金融理論をより現実に近づける試みである。
従来の伝統的ファイナンス理論が合理的な投資家と理想的な市場を想定してきたのにたいし、行動ファイナンス理論とは、投資家は必ずしも合理的ではなく、心理的な要因によって左右されてしまうという前提のもとで理論・実証を積み重ねていくものである。

そもそも、伝統的ファイナンス理論とは?
伝統的ファイナンス理論とは「裁定」の考え方を極限まで押し広げたものである。そして、ここでいう「裁定」とは、ざっくり言って「高いものを売って、(それと同等のもので)値段の安いものを買う」ということである。
たとえば、東京と大阪で同じりんごが違う値段で売られていたとする。すると、その値段の差額を利用すればいくらでも儲けることができる。結果、値段は同じ価格に収斂していく(一物一価の原則)。
経済学では、市場で裁定が十分に行われていると想定することを、効率的市場仮説とよぶ。
やや乱暴だが、伝統的ファイナンス理論そのものが、効率的市場仮説と単純化しても、大きく間違いではないだろう。
ただし、これはあくまで仮説である。
ここで重要なのは市場が非効率的であれば裁定取引で儲けることができるが、市場が効率的であれば、裁定取引で儲けるチャンスはないということである。

ヒューリスティックとはなにか?
ヒューリスティックとは、簡単にいうと、物事をざっくりとらえることである。日本語でいえば、直感的という言葉が使われる。理解しやすくなる反面、このことによって、判断のミスも生じることがある。

初頭効果とは?
後に述べられたことよりも、最初に述べられた特質のほうが、認識や評価の過程において大きな影響力を持つ可能性があるということだ。つまり、第一印象に大きなウェイトが与えられたのである。もう一つは、与えられる情報量が増加すると、情報に対する集中力が減少して、後からの情報に大きな注意が払われないということ。

初頭効果の例
「A社の前期の業績が発表された。売上高は順調に伸びている。しかし、利益率は20%低下した」
「A社の前期の業績が発表された。利益率が20%低下したものの、売上高は上昇した」

おそらく、多くの人が、最初の文章のほうがA社に対して、よいイメージを持つだろう。

アンカーリングとは?
アンカーリングとは、最初の参考値に過大なウェイトがおかれることである。

アンカーリングの例
世論調査を行うさいに、「来年の日本経済は悪くなるとおもいますか?」と聞くのと、「来年の日本経済はよくなるとおもいますか?」と聞くのでは、回答が違ってくる。
質問に答えが引っ張られるからだ。
「今年度の日本経済は、いまだ景気回復の兆しを見ることができませんが、来年の日本経済もやはり悪くなるとおもいますか?」と聞けば、さらに効果てきめんだ。質問者の意図にそった答えを引き出すことができる。

連言の誤り
実験をしてみよう。

「ここにリンダという名前の女性がいる。彼女は31歳。独身で非常に知的で、はっきり物を言う女性である。大学時代は哲学を学び、学生のころは社会正義と差別問題に関する活動に深く関わってきた。され、あなたが、この女性の今を推測する場合、以下の二つの選択肢のうち、どちらが可能性が高いと考えるだろうか?

@彼女は銀行員である。
A彼女は銀行員で、女性運動で活動している。」

もし@を選んだとしたら、あなたは冷静で理性的だ。しかし、実際には多くの人がAを選ぶ。なぜだろうか?
この文章を冷静に考えてみると、Aは@の銀行員であるという条件に加えて女性運動の活動家という条件が加わっている。つまり、Aのほうが@よりも可能性が高いことなんてありえないのだ。
連言の誤りとは、二つのイベントが同時に発生する確率は、一つのイベントの発生確率よりも低いにもかかわらず、複数イベントの同時発生が個々のイベントよりも確率が高いと考えてしまう現象のことである。

経験的な関係の過大推計
人間はときに存在しない相関関係すら、あたかも存在しているかのように錯覚してしまうことがある。
たとえば、第二次世界大戦中、ロンドンはドイツ軍のロケット弾攻撃の被害にあった。
市民はロケット弾が目的地をめがけて、正確に打ち込まれているに違いないと思った。実際、「ドイツのスパイがいる地域にはロケット弾は落ちない」という噂もながれたという。
しかし、実際にはドイツ軍はまったくランダムにロケット弾を打ち込んでいたのである。
市民の頭のなかには「ドイツ軍は強く技術力が高い」「ロケット弾を打ち込むときはねらって打つものだ」という思い込みがあったために、ありもしない経験的な関係を認識し、しかも過大に評価してしまったのだ。

プロスペクト理論とは?
行動ファイナンスの肝となる理論。
一言で説明するなら、「人間には利益をなるべく早く確実にしたい一方、損失は先送りしたいという傾向がある」ということ。
実際の投資行動で見るならば、「値上がりした株はすぐに利益を確定しがちであるが、値下がりした株はすぐに売って損失を確定することができない」ということ。

プロスペクト理論に関する実験結果によると、人間は利益がでている場面と損が出ている場面では、リスクに対するとらえかたが変わることが示されている。
利益が出ているとき、人はリスク回避的な行動をとり、ハイリスク・ハイリターンよりも、ローリスク・ローリターンのほうを好む。
一方、損失が出ているときはむしろリスク愛好的になる。ハイリスク・ハイリターンの行動を好みがちになる。











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2012年06月24日

「ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門」のまとめ


私が短編小説を書くよりも長編小説をおすすめする理由
・短編小説は売りにくい。
・短編よりも長編を書くほうがむずかしいということはない。ただ単に長いだけだ。
・短編を書くには優れたアイデアを必要とするが長編はそうでない。

作家はどこからアイデアを得るのか?
・よく人からはこういう質問をされるが、これほど答えに窮するものはない。
もちろん、アイデアの多くは無意識の底から湧きだしてくる。しかし、それ以外にも、たとえば事実の断片からアイデアをひねりだすことだって可能だ。
ニュース雑誌の記事や百科事典の記述をもとにして、一遍の小説を書くことは可能だし、私は実際にそうしたことがある。


小説の書き方(出だし)

1出だしで話を動かす。
出だしに関して新人作家の一番よくない点は、寒い朝の旧式のステュードベイカーよりエンジンがかかりにくいことだ。
一番最初に読者の気を引くような書き方をしよう。
いきなりアクションから始めてもいい。また、読者の注意をひくような、会話から始めてもいい。

2雰囲気をつくる。
読者が小説世界に入っていきやすいように、視覚的な雰囲気を作る。

3問題を提示する。
プロットの核となる問題をできるだけ速やかに読者に提示することは、ときに作家の最大の関心事である。

小説の出だしはよくなければならない。そうでなければ誰も先に読み進めようとはせず、小説の残りはせっかくの機会を失ってしまうのだ。

小説の書き方(キャラクターの移動シーンについて)

・新米の小説家にとって、人物を部屋に出し入れしたりするのはとてもむずかしい。
多視点の小説では、これはただ、ひとつの場面を閉じて、別の場面を別の場所と時間で始めるだけのことだ。それでも著者は読者にどのくらいまで(場面の状況を)知らせなければならないかという選択を迫られるが、登場人物が未来永劫、地下鉄に乗っているということはない。しかし単一視点の小説はあらゆる瞬間の行動を説明して、読者に語りすぎてしまうきらいがある。
現在の読者は、映画などの経験によって、場面の転換にはなれているので、その点を考慮して、移動シーンをつくりあげるべき。



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2012年06月23日

一瞬でのど元を掻っ切る、スロートスラッシュの方法、そして日本刀の切れ味とは?

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※刃物による刺殺、斬殺(「人殺し大百科」の抜粋)


 メッタ刺しが一時的な狂気のなせる攻撃とするならば正気の証といえる攻撃がある。

 スロートスラッシュ

 背後から忍び寄り口をふさぎ、喉を掻っ切る、というこの方法はミリタリー式斬首術もしくは暗殺術といわれ、ゆるぎない殺意はもちろん冷静さももとめられる。

 別れた妻にたいする私怨か、プロフェッショナルの手による暗殺かーーー世界的な関心を集めたOJシンプソンケースではこの方法で二人が殺された。

 ミリタリー式では、背後から忍び寄り、相手の口と鼻を塞いでから、まず腎臓あたりをナイフで一突きする(もしくは殴りつける)。腎臓を狙うのはここに神経が集中しており、猛烈な痛覚を生み出すからだ。そのまま体勢がくずれたところを左耳下から右耳下にナイフを走らす、といったパターンがとられる。攻撃者が右利きならば、犠牲者の首の左側から右側に刃物が流れる。傷は最初に浅く、次に深くなり最後で再び浅くなるのが特徴だ。

 動物は獲物を仕留める際、誰に教わったわけでもないのに、首に噛み付き相手をねじ伏せてからトドメをさす。狩りの仕方は親より習うのだろうが文字や口伝といった手段を持たない動物達あ教わるまでもなく本能的に知っているのだ。首は急所であるということを。

 首は急所であるーーーこれは刃物攻撃にもあてはまる。皮膚の下に青く浮き上がって見えるのは頸動脈。さらに深いところ、筋肉の下骨に近い部分に位置するのが頸動脈だ。首に指を当てるとパルスを感じるだろう。頸動脈が脳や顔に血液を送っている証拠だ。

 頸動脈は顔や脳に酸素を豊富に含んだ新鮮な血を運ぶ血管で、これが断たれれば脳細胞は死滅する。刺す、切るに限らず一度出血すれば止血は不可能で、心臓に近いところから血の噴出量も多く、1分もかからずに意識を失いそのまま死亡する。


 刃物攻撃に対してはさまざまな思い込みがある。

 たとえば、一般には銃で打たれるよりも刃物で攻撃されたほうが傷の程度は軽いと見られている。しかし、現実はこの逆というケースが少なからずある。
FBIの統計によれば、ある条件下では銃撃後に死亡する確率は10%、刃物では30%になるという。


※日本刀って、どんだけ切れるのか?


 日本刀は自重が1kg近いために形成された傷は切創ではなく斧などによってできる創傷、割創のカテゴリーに分類される。叩き潰すではなく叩き切るーーこの効果は斧の破壊力に日本刀の切れ味をプラスしてはじめて得られるものなのだ。

 日本刀が使われた刃傷沙汰では切断寸前の割創とほぼ貫通に近い割創、そして完全切断が見られる。出血の程度は深いところまで斬られるために噴血状態となり、血液だけでなくリンパ液、その他の体液があたりにまきちらされる。

 その場で一命をとりとめても傷が深いために動脈系の損傷が酷く、止血はほぼ不可能。数時間後にはかならず死ぬ。
 療養所にかつぎこまれた犠牲者が2、3日高熱でうなされてから回復するのは時代劇ではおなじみだが、これは奇跡に近い。
 日本刀による刃傷沙汰の特徴の一つは手指の切断だ。自分も刀を構えているので振り回された刀身を拳でうけとめてしまうというパターンが多く現場には手指が散乱する。


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2012年06月22日

「人殺し大百科」の抜粋

・人を殺すということ

人殺しを研究対象にした殺人学(killology)の提唱者デビッド・グロスマン元中佐はこう言う。

・人間は本質的に人を殺すことができない。
・殺人シュミレーションの反復で人殺しを育成することができる。


たとえば、南北戦争で最大の激戦地となった<ゲッティスバーグの戦い>ではほとんどの兵士が発砲せず、銃を打つジェスチャーをしただけであったという。
(中略)
発砲率が低かったとはいえ、北軍、南軍あわせて26万人もの戦死者を数えたのは事実で、中佐の説が真実であれば犠牲者の多くは砲撃によるものと推測できる。
同じような銃撃ジェスチャーはナポレオン戦争や他の南北戦争激戦区でも見られ、中佐は新しいデータとしてFBIがまとめた1950年代、1960年代の警察官の低い発砲率なども引き合いにしている。
同じような結果は近代戦争でもみられた。第二次世界大戦中、敵兵に向かって発砲した兵士は全体の15%〜20%だったという。特殊な兵器、たとえば火炎放射器や車両搭載型マシンガンは常に発射されていることが多く、発砲回数は上官の「撃て」の号令で格段に増えた。ところが、銃の出番がなくなると大部分の兵士は銃を敵に向けようとしない。つまり、できれば人を殺したくなかったのだ。
敵と接近すればするほど銃が撃てなくなるという心理は容易に理解できる。10km先の目標にむかってミサイルを打ち込む、2マイルの距離から敵の陣地に迫撃砲を発射する、1km先からスナイパーライフルで狙撃する------これはOKだ(ビデオゲームを見ているような錯覚を覚えた湾岸戦争はニンテンドーウォーと評された)。それでは50m先の敵に向かってライフルを打つ---このあたりから抵抗を感じるようになる。さらに近づいて10mぐらいから、もしくは至近距離からピストルで撃つ、銃剣で突き刺す---このあたりになるとほぼ全員が抵抗を感じるはずだ。
大佐の持論は、人間も他の動物と同じく基本的に同類を殺すことはありえないというもので、これを抵抗感の正体と位置づけている。野生の世界では縄張り争いや繁殖期のメスの奪い合いで雄同士が激しい戦いを繰り広げる。角をぶつけるといった頭突き攻撃が多く、喉を噛み切るといった致死的な攻撃はない。爬虫類や魚類の世界でも同じだ。ガラガラヘビやピラニアは互いに絡み合い、組み伏せたり、尾ひれを激しく打ち付ける程度でそれ以上のことはしない。動物には本能的に種の断絶を防ぐメカニズムが働いているのだ。

湾岸戦争ではほぼ全員の兵士、およそ90%近くが<敵を殺す>という明確な殺意をもって発砲した。第二次世界大戦終戦後、400近くの歩兵連隊を調査したところ敵に向かって発砲した兵士は15〜20%しかいなかかった。この調査結果に戸惑ったペンタゴンは教練の方法を一から見直すことになった。これまでは黒丸だったターゲットを人型にし、さらに固定式から移動式にした。実践に近づけるために射撃訓練の最中、教官は兵士の頭上めがけてサブマシンガンをぶっぱなした。こうして鍛えあげられた結果発砲率は湾岸戦争で90%までにあがった。

社会は必然的に闘争本能がはぐくみにくい環境になっている。しかし鳥のように空を飛べない生物は本質的に同類を殺せないようにプログラムされている。このリミッターをどうすれば外すことができるのか。
古来、人間は闘争本能を駆り立てる方法を探していた。兵士教育ではこのリミッターをいかに早く振り切るかが課題になっている。
リミッターを外すためのメンタル教育はこうして行われる。

・機械的な反復
・敵を非人間化させる
・殺人の責任を団体(愛国心・忠誠心)のなかで希釈化させる
・自責や後悔を上官命令にすりかえる

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青山 光二著「ヤクザの世界」の抜粋

ヤクザのケンカの原因をつきとめていくと、いちばん多いのが顔の問題である。喧嘩を買わなかったり、身内が顔をつぶされたのを、オトシマエ(解決)をつけないままですませたりすると、あとあと差しさわりがある。つまり、ヤクザモンとして生きていく上に支障をきたすという、稼業上の現実的な理由が、喧嘩の原因となるのである。

出入りをひかえて、特に訓練をすることもある。浅草の寺で、某親分の葬式があったとき、乗りこんでいって、宿敵をピストルで射ち殺したという事件があったが、この男は一月も前から射撃の練習をしていた。大森の海岸で、岸壁の上に卵をずらっとならべて、夜明け方に射撃の稽古をした。一月ちかく毎朝やった。そして、葬式の当日乗りこんでいって、ちゃんと狙った相手を殺している。こういうことになると、ヤクザは一生懸命やるようだ。
もっとも、ほんとにどうしても殺そうという場合には、ピストルよりも短刀がいちばん確実な武器になる。親分衆がよくいうことだが、どうしてもやってこいというときは、短刀を渡す。ピストルではダメだ。ピストルは証拠が残らないから、おどかすのにはいいが、殺そうというときには、短刀を持っていって、相手に抱きついてしまう。そこでえぐれば確実である。

(人を殺した後、居酒屋で酒を飲みながら警察を待っているときに)気がついてみると、こっちは血刀をぶらさげたまま。はなそうと思っても、刀がどうしても手から離れない。筋肉が硬直してしまっている。巡査に言って、刀を手からもぎとってもらって、やっとお縄をちょうだいしたという。

博徒は寺に、テキヤは神社に縁が深いというのは興味深い。賭博開帳の際、場所代の意味で胴元かの収益から差し引くかねをテラ銭というのはもちろん、昔の博徒が寺の一室を借りて開帳することが多く、謝礼として収益の一部をお寺に贈ったことからきているのである。

四分六の兄弟分というのは、親分乾分の関係とあまり変わらない場合が多い。七三にいたっては、さらにそうである。もちろん、正式の盃事をして、これで四分六の兄弟の盃がすんだということになるわけだが、四分六になったということになると、四分のほうの舎弟は、たとえば座布団に座っておっても、六分の兄貴がその座にきたら、座布団をおりなければならないというくらいの違いがある。なお、五分五分の盃事には盃を二つ使うが、四分六や七三の場合には一つの盃にみたした神酒を、兄貴分おほうが六分なら六分まで呑み、あとを相手にさげてやるのである。

四分六の盃いは、こういう場合がある。たとえば、Aという男がBという男に盃をさげてもらいたい、つまり、乾分になりたいという場合に、Aにすでに親分があったとすると、二人の親分を持つということはできないから、四分六の兄弟ということになるのだ。名前は兄弟分だけれども、こういう場合、実質は親分乾分みたいなもので、それぐらいの隔たりがある。


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秀吉には右手の指が6本あった?


(井沢 元彦「逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎」より)

秀吉には右手の指が6本あった。
これはまったく別の系統の二つの資料にのっていることであるから、ほぼ事実とみなしてかまわない。
差別意識を助長するという理由からか、この事実はあまり知られていないが、こうしたコンプレックスが秀吉という人間になにがしかの影響を与えたことは間違いがない。

本能寺の変後、秀吉は天下をとった。
そのことを現代の我々は知っているから、このことに不思議を感じないけれども、実はこれは大変に不思議なことだ。手品といってもいい。
というのも、本能寺の変のあと、信長の息子は何人も残っていたからだ。
天下をとるためには、信長の子供、また孫を排除しなければならない。
信長は義弟浅井の裏切りのあと、きわめて猜疑心の強い性格となっており、信長の死まで、秀吉は忠臣としてふるまっていた。
それなのに、その忠臣が信長の子孫を裏切り、また死においやるなどということがあれば、秀吉は不義の臣としてのそしりとまぬがれない。
秀吉は権謀術数と得意の人たらしによって、その難関をのりこえていく。

織田家の重臣たちによる清州会議の後、秀吉と柴田勝家は対照的な行動をとった。
秀吉が京近くへ本拠を移したのに対し、柴田勝家は越前国に戻ってしまった。
これは勝家の大失敗だった。
越前は雪が深く、冬になれば軍事行動をとることができない。
秀吉はこの隙に乗じて、岐阜の織田信孝を攻め、降伏させてしまった。
このときに織田信孝の母と娘を人質にとった。
つまり、このあいだまでの主君信長の妻と孫である。
しばらくして、信孝が挙兵したのだが、このとき、人質の二人をはりつけにした。

柴田勝家を滅ぼしたあと、いよいよ家康と小牧・長久手で対決することになるが、軍事的には敗北してしまう。
家康には軍事的に勝てないことを知った秀吉は、なんと自分の母を家康に人質として差し出すという奇想天外な策をろうし、家康を屈服させることに成功した。

・秀吉の外征

従来、日本の歴史学会では、秀吉の唐入りを誇大妄想的な侵略戦争として、断罪してきた。
しかし、当時の日本は世界的にもまれな軍事大国であり、明を侵略することはけっして絵空事ではなかった。
また、これを侵略戦争として断罪する歴史学者はいろいろと見落としていることがある。

たとえば、戦国時代が終わり、平和が訪れるとはどういうことなのかという視点である。
それは、大量の(そして極めて優秀な)軍人が失業するということである。
だから、世界の英雄たちは国内を統一したあと、外征にうってでたのだ。
「もう戦争はこりごりだ」という世論が醸成されなければ、戦争はおわらない。

また、世界史的な視野で考えれば、このとき、スペインは明への侵略を考えていた。
当時のキリスト教国というものは、他国を侵略することになんの罪悪感ももたない。
いや、神を知らぬ野蛮人どもにキリスト教というありがたい教えを広めてあげるのだから、感謝すべきとすら思っている。
こうしたスペインの意図を秀吉も知っていた。
明がスペインの支配下におかれるということは、日本の安全保障にとって、きわめて憂慮すべき事態となる。
結局、スペインの明攻撃は、無敵艦隊がイギリスに敗れたことによって、消滅するのだが、こうしたこともあわせて考えなければ、歴史を知ったことにはならない。

逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 (小学館文庫)
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2012年06月17日

平坂 読 ブリキ「僕は友達が少ない7巻」のあらすじ

小鳩の誕生会も終え、学園祭の出し物をどうするかについて悩む隣人部の面々。
小鳩が自分のクラスで映画をつくり、しかも、小鳩が主役だということを聞いたことで、隣人部も映画製作をすることになる。
脚本の執筆は夜空が担当。
執筆に苦しむ夜空は、参考にするために小鷹とともに映画を観に行くことに。
激しいラブシーンに互いに赤面したあとは、猫カフェに行く夜空と小鷹。
子供のころに、二人でかわいがっていた猫のことを思い出し、しんみりする二人。ここでデート終了。

惨憺たる結果におわるだろうと思われていた夜空のシナリオだが、これが意外と良い出来。
隣人部のメンバ―も口々に称賛の声をあげる。
しかし、キャストをどうするかでもめる。

「幼なじみだから」という理由で小鷹を脚本上ひいきする夜空に星奈がキレる。
なんだかんだあって、夜空は改心し、小鷹の脚本上でのひいきをやめる。

一方、星奈と小鷹が子供のころに、親どうしの勝手な取り決めで、婚約していたことが判明。
それは二人のあいだの秘密にしようと決めたのだが、その一瞬あとに、みんなの前で婚約の件がマリアによって暴露される。

夜空の脚本がマイナー映画の丸パクリであることが判明。
星奈の脚本が使われることになる。

なんとか映画撮影もすみ、学園祭当日をむかえる。
屋上で理科が、小鷹に「今のままでいいのか。星奈が小鷹のことをどう思っているかは知っているはずだ。
もう先に進むべきなんじゃないのか」と問う。
小鷹はその問いに結論を出さずに、立ち去っていく。



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2012年06月10日

羽生善治のみるみる強くなる将棋序盤の指し方入門


定石の丸暗記はおすすめしない。
なぜなら、単なる丸暗記では将棋の基礎力がつかないから。

なぜ、角道を開けるのか、金や銀があがることにはどういう意味があるのか。
そういう指し手の意図をひとつひとつ考えていくことは、遠回りのように思えて、実は序盤の力を向上するための一番の近道。

ヒモをつけることがとても大事。ヒモをつけることで、駒をただでとられることがなくなる。

小さい駒から攻めるのが将棋の基本。
大駒はすぐに敵陣に飛び込むようなことはせずに、背後でにらみをきかせるようにしよう。
小さな駒からこつこつと動かすことが大事。

角の頭は弱点の一つ。
金をあがるなどして、角の頭を守るようにしよう。


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2012年06月07日

溝口敦著「撃滅山口組VS一和会」

(溝口 敦著 『撃滅 山口組VS一和会』より)

(一和会と山口組の抗争時、警察が一和会の肩を持っていたことを証する事実として)
一和会幹部宅を警備する機動隊員も出入りする組員をボディチェックせず、チャカを自由に出入りさせていたともいう。

田岡の死後、山口組の分裂から一和会との抗争に至る経緯には、警察のかくされた意図があった。従来の警察力による山口組壊滅から、分裂を促し、自壊を早める方向への戦術転換である。


一和会の幹部は悔いをにじませて言う。
「田岡親分の長男満さんは、自分は堅気と、口を開けば言うけれど、やっていることは果たして堅気なのか。事件が好きで金が好き、争いごとに介入するのが好きときている。本業の甲陽運輸は赤字じゃないか。あそこの社員だって満さんには手を焼いている。余計なことばかりするって。
分裂したのは一に満さんが原因だ。彼は事件にはからむくせにしょっぴかれるのは大嫌いときている。警察におどされると一も二もない。分裂の少し前、警察は満さんとフミ子姐さんに、四代目を早く決めろ、でないと満さんを逮捕するとおどした。それで姐さんはあわてて竹中を決めたのだが、山本広会長代行を無視した無理筋の選任だったため、我々も一和会に頼らざるをえなかった」


細田は解散時に系列組員130人を抱えていたが、この程度が直系組長たちの平均的勢力である。したがって、直系若衆一人をやめさせれば、その子分たち130人を山口組からさいたとも考えられるが、これは机上の空論で子分たちは必ずしも親分と行をともにするわけではない。山口組の本部預かりにあったり、別の直系若衆の組に吸収されたり、さらには乾分のうち頭立つ者が後を受けて組を率い、山口組の直系若衆に取り立てられたりで、山口組の組員総数にはほとんど影響がないのが常である。


およそ暴力団ほど手ばなしで欲望を肯定し、その実現のためには手段を選ばぬものたちはいない。彼らの生き様は恣意であり、いずれ幼少期から学校や家庭の規範を嫌った者たちの末である。
だが、そういう彼らにあっても、ナンバー1に所属することは誇るに足る。所属すれば、組織の規範は免れようがないが、なお山口組を選ぶ。


山口組、一和会ともに、この頃には近い将来、抗争が不可避であることは覚悟していた。事情がどうであれ、一和会は組を割って、対抗する別組織を作った。そのまま放置はできない。しかも、もともと同根だから、末端にいけばいくほど、しのぎは相互に重なっている。ややこしい関係はいつか紛糾をよばぬほうが不思議だった。


稲川は三十七年に引退した住吉会顧問阿部重作の老後の資金づくりのため箱根で総長賭博を開帳。一晩で史上空前といわれた五億五千万円を動かし、テラ銭四千四百万を上げた。この罪に服して稲川は昭和四十四年から三年間、服役していた。このため住吉会は稲川に借りを作り、同会も稲川の出所に大量動員をかけることは眼に見えていた。
(中略)山本健一の異常ともいえる稲川歓迎は十ヶ月後にようやく謎をとくことになった。四十七年十月、稲川会が田岡邸を訪れ、後見人もたてない略式で両組織間の盃事を行った。すなわち若頭山本健一が稲川組理事長で横須賀一家組長の石井唯博と、若頭補佐益田芳夫が稲川組専務理事で箱屋一家組長の趙春樹と、それぞれ兄弟分の盃をかわしたのである。これで両組間の友誼関係は確立した。山本は病身の田岡にかわる山口組の実質リーダーだったし、益田は横浜にあった、もっとも頻繁に稲川会と接する山口組の前衛だったからである。


もっとも法治国家は彼ら自身の勝手な裁きを許すわけにはいかない。彼らの勝利はたとえば殺人罪という表社会の語に翻訳されて処罰の対象となる。そのため、暴力団の勝利はつねにマイナスを付加されるから、マイナスに耐えられる体力をもって初めて勝利が勝利になる性格をもつ。


事務所や居宅に向けた拳銃の発射は、発覚すれば、人を傷害すると同程度の刑を受ける。にもかかわらず、ガラス割りはほとんどの場合、室内にいる人間を傷つけず、効果を疑わせる襲撃法である。が、その安易さから今では暴力団間に愛用される攻撃法となった。







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posted by YenGood at 14:33 | Comment(0) | 裏社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

井沢元彦著「仏教・神道・儒教集中講座」のまとめ


古代インド思想では、生きることは苦しみであると捉えられていた。

王子として生まれたシッダールタは 、生きることが苦しみであるのなら、人間はどうしたらその苦しみから逃れられるかということを真剣に考えた。

苦行を経て、彼が到達した考え。
それは苦しみはいろいろなものへの執着が生み出しているということであった。
シッダールタの死後、仏教はその思想の違いから分裂し、様々な宗派を生み出していく。

日本においても、多様は仏教が中国から伝播し、また発展していく。

織田信長が行った比叡山焼き討ちは、単に残虐行為ととらえるべきものではない。
それは、西洋に先んじて行われた政教分離であり、これ以降、宗教による暴力が日本から一掃された。
このことの意味を日本人はあまり気づいていないが、とても重要なことである。


神道はもともと、とても寛容な宗教である。
明治時代に、西洋のキリスト教的一神教要素をとりいれた国家神道はむしろ例外的な状況とみなすべき。


儒教とは中国の古代信仰である「先祖崇拝」をかたちにしたもの。
儒教は宗教ではなく、道徳であり、政治学であるという意見があるが、宗教としてみたほうがすっきりする。

儒教の欠点の一つは尚古主義(古いものがいちばんいい)におちいりやすいこと。
そして、経済を無視しがちなこと。




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posted by YenGood at 14:24 | Comment(0) | 歴史・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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