2012年06月07日

溝口敦著「撃滅山口組VS一和会」

(溝口 敦著 『撃滅 山口組VS一和会』より)

(一和会と山口組の抗争時、警察が一和会の肩を持っていたことを証する事実として)
一和会幹部宅を警備する機動隊員も出入りする組員をボディチェックせず、チャカを自由に出入りさせていたともいう。

田岡の死後、山口組の分裂から一和会との抗争に至る経緯には、警察のかくされた意図があった。従来の警察力による山口組壊滅から、分裂を促し、自壊を早める方向への戦術転換である。


一和会の幹部は悔いをにじませて言う。
「田岡親分の長男満さんは、自分は堅気と、口を開けば言うけれど、やっていることは果たして堅気なのか。事件が好きで金が好き、争いごとに介入するのが好きときている。本業の甲陽運輸は赤字じゃないか。あそこの社員だって満さんには手を焼いている。余計なことばかりするって。
分裂したのは一に満さんが原因だ。彼は事件にはからむくせにしょっぴかれるのは大嫌いときている。警察におどされると一も二もない。分裂の少し前、警察は満さんとフミ子姐さんに、四代目を早く決めろ、でないと満さんを逮捕するとおどした。それで姐さんはあわてて竹中を決めたのだが、山本広会長代行を無視した無理筋の選任だったため、我々も一和会に頼らざるをえなかった」


細田は解散時に系列組員130人を抱えていたが、この程度が直系組長たちの平均的勢力である。したがって、直系若衆一人をやめさせれば、その子分たち130人を山口組からさいたとも考えられるが、これは机上の空論で子分たちは必ずしも親分と行をともにするわけではない。山口組の本部預かりにあったり、別の直系若衆の組に吸収されたり、さらには乾分のうち頭立つ者が後を受けて組を率い、山口組の直系若衆に取り立てられたりで、山口組の組員総数にはほとんど影響がないのが常である。


およそ暴力団ほど手ばなしで欲望を肯定し、その実現のためには手段を選ばぬものたちはいない。彼らの生き様は恣意であり、いずれ幼少期から学校や家庭の規範を嫌った者たちの末である。
だが、そういう彼らにあっても、ナンバー1に所属することは誇るに足る。所属すれば、組織の規範は免れようがないが、なお山口組を選ぶ。


山口組、一和会ともに、この頃には近い将来、抗争が不可避であることは覚悟していた。事情がどうであれ、一和会は組を割って、対抗する別組織を作った。そのまま放置はできない。しかも、もともと同根だから、末端にいけばいくほど、しのぎは相互に重なっている。ややこしい関係はいつか紛糾をよばぬほうが不思議だった。


稲川は三十七年に引退した住吉会顧問阿部重作の老後の資金づくりのため箱根で総長賭博を開帳。一晩で史上空前といわれた五億五千万円を動かし、テラ銭四千四百万を上げた。この罪に服して稲川は昭和四十四年から三年間、服役していた。このため住吉会は稲川に借りを作り、同会も稲川の出所に大量動員をかけることは眼に見えていた。
(中略)山本健一の異常ともいえる稲川歓迎は十ヶ月後にようやく謎をとくことになった。四十七年十月、稲川会が田岡邸を訪れ、後見人もたてない略式で両組織間の盃事を行った。すなわち若頭山本健一が稲川組理事長で横須賀一家組長の石井唯博と、若頭補佐益田芳夫が稲川組専務理事で箱屋一家組長の趙春樹と、それぞれ兄弟分の盃をかわしたのである。これで両組間の友誼関係は確立した。山本は病身の田岡にかわる山口組の実質リーダーだったし、益田は横浜にあった、もっとも頻繁に稲川会と接する山口組の前衛だったからである。


もっとも法治国家は彼ら自身の勝手な裁きを許すわけにはいかない。彼らの勝利はたとえば殺人罪という表社会の語に翻訳されて処罰の対象となる。そのため、暴力団の勝利はつねにマイナスを付加されるから、マイナスに耐えられる体力をもって初めて勝利が勝利になる性格をもつ。


事務所や居宅に向けた拳銃の発射は、発覚すれば、人を傷害すると同程度の刑を受ける。にもかかわらず、ガラス割りはほとんどの場合、室内にいる人間を傷つけず、効果を疑わせる襲撃法である。が、その安易さから今では暴力団間に愛用される攻撃法となった。







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posted by YenGood at 14:33 | Comment(0) | 裏社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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