2012年06月22日

「人殺し大百科」の抜粋

・人を殺すということ

人殺しを研究対象にした殺人学(killology)の提唱者デビッド・グロスマン元中佐はこう言う。

・人間は本質的に人を殺すことができない。
・殺人シュミレーションの反復で人殺しを育成することができる。


たとえば、南北戦争で最大の激戦地となった<ゲッティスバーグの戦い>ではほとんどの兵士が発砲せず、銃を打つジェスチャーをしただけであったという。
(中略)
発砲率が低かったとはいえ、北軍、南軍あわせて26万人もの戦死者を数えたのは事実で、中佐の説が真実であれば犠牲者の多くは砲撃によるものと推測できる。
同じような銃撃ジェスチャーはナポレオン戦争や他の南北戦争激戦区でも見られ、中佐は新しいデータとしてFBIがまとめた1950年代、1960年代の警察官の低い発砲率なども引き合いにしている。
同じような結果は近代戦争でもみられた。第二次世界大戦中、敵兵に向かって発砲した兵士は全体の15%〜20%だったという。特殊な兵器、たとえば火炎放射器や車両搭載型マシンガンは常に発射されていることが多く、発砲回数は上官の「撃て」の号令で格段に増えた。ところが、銃の出番がなくなると大部分の兵士は銃を敵に向けようとしない。つまり、できれば人を殺したくなかったのだ。
敵と接近すればするほど銃が撃てなくなるという心理は容易に理解できる。10km先の目標にむかってミサイルを打ち込む、2マイルの距離から敵の陣地に迫撃砲を発射する、1km先からスナイパーライフルで狙撃する------これはOKだ(ビデオゲームを見ているような錯覚を覚えた湾岸戦争はニンテンドーウォーと評された)。それでは50m先の敵に向かってライフルを打つ---このあたりから抵抗を感じるようになる。さらに近づいて10mぐらいから、もしくは至近距離からピストルで撃つ、銃剣で突き刺す---このあたりになるとほぼ全員が抵抗を感じるはずだ。
大佐の持論は、人間も他の動物と同じく基本的に同類を殺すことはありえないというもので、これを抵抗感の正体と位置づけている。野生の世界では縄張り争いや繁殖期のメスの奪い合いで雄同士が激しい戦いを繰り広げる。角をぶつけるといった頭突き攻撃が多く、喉を噛み切るといった致死的な攻撃はない。爬虫類や魚類の世界でも同じだ。ガラガラヘビやピラニアは互いに絡み合い、組み伏せたり、尾ひれを激しく打ち付ける程度でそれ以上のことはしない。動物には本能的に種の断絶を防ぐメカニズムが働いているのだ。

湾岸戦争ではほぼ全員の兵士、およそ90%近くが<敵を殺す>という明確な殺意をもって発砲した。第二次世界大戦終戦後、400近くの歩兵連隊を調査したところ敵に向かって発砲した兵士は15〜20%しかいなかかった。この調査結果に戸惑ったペンタゴンは教練の方法を一から見直すことになった。これまでは黒丸だったターゲットを人型にし、さらに固定式から移動式にした。実践に近づけるために射撃訓練の最中、教官は兵士の頭上めがけてサブマシンガンをぶっぱなした。こうして鍛えあげられた結果発砲率は湾岸戦争で90%までにあがった。

社会は必然的に闘争本能がはぐくみにくい環境になっている。しかし鳥のように空を飛べない生物は本質的に同類を殺せないようにプログラムされている。このリミッターをどうすれば外すことができるのか。
古来、人間は闘争本能を駆り立てる方法を探していた。兵士教育ではこのリミッターをいかに早く振り切るかが課題になっている。
リミッターを外すためのメンタル教育はこうして行われる。

・機械的な反復
・敵を非人間化させる
・殺人の責任を団体(愛国心・忠誠心)のなかで希釈化させる
・自責や後悔を上官命令にすりかえる

人殺し大百科
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タグ:裏社会
posted by YenGood at 22:12 | Comment(0) | 武道、格闘技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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