2012年06月30日

真壁 昭夫著「最強のファイナンス理論」のまとめ

行動ファイナンス理論とは?
・伝統的なファイナンス理論でアノマリー、ノイズとみなされ、意図的に無視されてきた市場の動向を、人間の心理的状況を分析することによって、金融理論をより現実に近づける試みである。
従来の伝統的ファイナンス理論が合理的な投資家と理想的な市場を想定してきたのにたいし、行動ファイナンス理論とは、投資家は必ずしも合理的ではなく、心理的な要因によって左右されてしまうという前提のもとで理論・実証を積み重ねていくものである。

そもそも、伝統的ファイナンス理論とは?
伝統的ファイナンス理論とは「裁定」の考え方を極限まで押し広げたものである。そして、ここでいう「裁定」とは、ざっくり言って「高いものを売って、(それと同等のもので)値段の安いものを買う」ということである。
たとえば、東京と大阪で同じりんごが違う値段で売られていたとする。すると、その値段の差額を利用すればいくらでも儲けることができる。結果、値段は同じ価格に収斂していく(一物一価の原則)。
経済学では、市場で裁定が十分に行われていると想定することを、効率的市場仮説とよぶ。
やや乱暴だが、伝統的ファイナンス理論そのものが、効率的市場仮説と単純化しても、大きく間違いではないだろう。
ただし、これはあくまで仮説である。
ここで重要なのは市場が非効率的であれば裁定取引で儲けることができるが、市場が効率的であれば、裁定取引で儲けるチャンスはないということである。

ヒューリスティックとはなにか?
ヒューリスティックとは、簡単にいうと、物事をざっくりとらえることである。日本語でいえば、直感的という言葉が使われる。理解しやすくなる反面、このことによって、判断のミスも生じることがある。

初頭効果とは?
後に述べられたことよりも、最初に述べられた特質のほうが、認識や評価の過程において大きな影響力を持つ可能性があるということだ。つまり、第一印象に大きなウェイトが与えられたのである。もう一つは、与えられる情報量が増加すると、情報に対する集中力が減少して、後からの情報に大きな注意が払われないということ。

初頭効果の例
「A社の前期の業績が発表された。売上高は順調に伸びている。しかし、利益率は20%低下した」
「A社の前期の業績が発表された。利益率が20%低下したものの、売上高は上昇した」

おそらく、多くの人が、最初の文章のほうがA社に対して、よいイメージを持つだろう。

アンカーリングとは?
アンカーリングとは、最初の参考値に過大なウェイトがおかれることである。

アンカーリングの例
世論調査を行うさいに、「来年の日本経済は悪くなるとおもいますか?」と聞くのと、「来年の日本経済はよくなるとおもいますか?」と聞くのでは、回答が違ってくる。
質問に答えが引っ張られるからだ。
「今年度の日本経済は、いまだ景気回復の兆しを見ることができませんが、来年の日本経済もやはり悪くなるとおもいますか?」と聞けば、さらに効果てきめんだ。質問者の意図にそった答えを引き出すことができる。

連言の誤り
実験をしてみよう。

「ここにリンダという名前の女性がいる。彼女は31歳。独身で非常に知的で、はっきり物を言う女性である。大学時代は哲学を学び、学生のころは社会正義と差別問題に関する活動に深く関わってきた。され、あなたが、この女性の今を推測する場合、以下の二つの選択肢のうち、どちらが可能性が高いと考えるだろうか?

@彼女は銀行員である。
A彼女は銀行員で、女性運動で活動している。」

もし@を選んだとしたら、あなたは冷静で理性的だ。しかし、実際には多くの人がAを選ぶ。なぜだろうか?
この文章を冷静に考えてみると、Aは@の銀行員であるという条件に加えて女性運動の活動家という条件が加わっている。つまり、Aのほうが@よりも可能性が高いことなんてありえないのだ。
連言の誤りとは、二つのイベントが同時に発生する確率は、一つのイベントの発生確率よりも低いにもかかわらず、複数イベントの同時発生が個々のイベントよりも確率が高いと考えてしまう現象のことである。

経験的な関係の過大推計
人間はときに存在しない相関関係すら、あたかも存在しているかのように錯覚してしまうことがある。
たとえば、第二次世界大戦中、ロンドンはドイツ軍のロケット弾攻撃の被害にあった。
市民はロケット弾が目的地をめがけて、正確に打ち込まれているに違いないと思った。実際、「ドイツのスパイがいる地域にはロケット弾は落ちない」という噂もながれたという。
しかし、実際にはドイツ軍はまったくランダムにロケット弾を打ち込んでいたのである。
市民の頭のなかには「ドイツ軍は強く技術力が高い」「ロケット弾を打ち込むときはねらって打つものだ」という思い込みがあったために、ありもしない経験的な関係を認識し、しかも過大に評価してしまったのだ。

プロスペクト理論とは?
行動ファイナンスの肝となる理論。
一言で説明するなら、「人間には利益をなるべく早く確実にしたい一方、損失は先送りしたいという傾向がある」ということ。
実際の投資行動で見るならば、「値上がりした株はすぐに利益を確定しがちであるが、値下がりした株はすぐに売って損失を確定することができない」ということ。

プロスペクト理論に関する実験結果によると、人間は利益がでている場面と損が出ている場面では、リスクに対するとらえかたが変わることが示されている。
利益が出ているとき、人はリスク回避的な行動をとり、ハイリスク・ハイリターンよりも、ローリスク・ローリターンのほうを好む。
一方、損失が出ているときはむしろリスク愛好的になる。ハイリスク・ハイリターンの行動を好みがちになる。











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posted by YenGood at 15:47 | Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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