2012年08月24日

清から朝鮮国王が受けた屈辱の詳細

井沢元彦「逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 」より


秀吉の「唐入り(朝鮮出兵)」を、韓国では「壬辰倭乱」と呼んでいることは御承知だと思う。壬辰は干支だが、「倭」は日本人に対する蔑称である。あの元のフビライですら「日本征伐」とは言ったが、日本のことを「倭」とは呼ばなかった。しかし、まあ侵略された側なのだから、それは聞き流すことにしても、聞き捨てならないのは「乱」である。「乱」というのは反乱であり、謀叛の意味もある。つまり、この言葉を使う以上、使った人間は自分のほうが「上位」だと思い込んでいるということだ。

理由はもちろん中華思想である。

李氏朝鮮は後に「小中華の国」と呼ばれる。つまり、あくまで「親分」は中国だが、日本よりは「上位」だという意味だ。だから、これも一種の「差別」なのである。

では、日本よりも「上位」の実態はどういうものか?

壬辰倭乱(1592〜1598)の29年後の1627年、韓国で「丁卯胡乱」と呼んでいる戦いが起こった。

「胡」とはやはり「異民族で野蛮人」という意味だ。それは後金の侵略であった。敗れた高麗はこの「野蛮人」を「兄」として立て、自分は「弟」として仕えるという形で、講和を結んだ。

そののち後金の太宗は国号を清と改め、自ら皇帝と称した。そして、高麗に対して服属を要求してきた。
高麗の仁祖王はこれを拒否した。
高麗にとって、あくまでも中華(中原の支配者)は明であって、清は「皇帝」を名乗るに値しない野蛮国であったからだ。
怒った清の太宗は、ただちに高麗へ侵略軍を差し向けた。
この清との戦いを、高麗は、丙子胡乱と呼んだ。あくまで明に対して操を立てたわけである。
だが、清軍は強力で、高麗軍はあっという間に打ち破られた。そして、太宗は「逆らえば皆殺しにする」と最後通牒を突き付けた。
皆殺しである。降伏するしかない。

仁祖王は涙をのんで降伏した。
降伏するということは、それまで清の風俗に改めるということでもある。
王は「胡服」(野蛮人の服)を着て、京城近郊に造られた受降壇(降伏の儀式をする台)におもむき、土下座以上の屈辱的な礼法である三跪九叩頭によって太宗皇帝を拝礼させられた。
しかも、清は「ご丁寧に」というか恩着せがましくというか、その記録を石碑として後世に残したのである。
それは「大清皇帝功徳碑」なるものである。


ちなみに、歴代の朝鮮国王は、この受降台を恒久化した施設「迎恩門」で、仁祖王と同じように、清の勅使に向かって三跪九叩頭を行わなければならなかった。今、そこには「独立門」という門が建っている。
明治以降、日本がアジアの強国となって清の影響力を弱めたため、朝鮮はようやく清から独立することができた。そこで迎恩問を叩き壊して独立門を建てたのである。ところが、今、韓国人の多くはそこにかつて迎恩問があったことを知らないという。それどころか、この「独立」を「清からの独立」ではなく「日本からの独立」と思い込んでいる人すらいるという。門の建てられた時代(1896年)を見ればそれは明らかなのだが、そう錯覚させる要素はある。一帯が独立公園となっていて、抗日運動を記念する施設がいくつかあるからだ。
また、この功徳碑のことを、韓国では恥辱碑と呼んでいるが、その恥辱の内容も崔氏の著書から紹介しておこう。
清との和平条約である。

一、朝鮮は清に対し、臣としての礼を尽くすこと。

一、朝鮮は明の元号を廃し、明との交通を禁じ、明から送られた勅命と冊印と、明から与えられた朝鮮王の印璽を清へ引き渡すこと。

一、王の長子と次男、および大臣の子女を人質として送ること。

一、清が明を征伐する時には、求められた期日までに、遅滞なく援軍を派遣すること。

一、内外(清)の諸臣と婚姻を結び、誼みを固くすること。

一、城郭の増築や、修理については、清に事前に許諾を受けること。

一、清に対して黄金100両、白銀1000両と二十余種の歳幣(毎年納める金と品物)として上納すること。

崔氏によれば、この物品のなかには「妓生と宦官」も入っていたという。

朝鮮は、莫大な金と「喜び組」を差し出すことによって、ようやく生存を許された、ということである。


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posted by YenGood at 20:14 | Comment(0) | 歴史・宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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