2012年08月30日

走るときにももを高くあげるように指導するのは、まったくの間違い

(『身体から革命を起こす』より)

日本の陸上競技会は、奇妙な迷信に長らく覆われてきて、そのことに気付いてから、ようやく10年ほどにすぎないという。1991年に東京で世界陸上選手権大会が開催された際に、出場した世界のトップアスリートたちの走る様子が膨大なビデオに撮影され、その分析によって、ようやく日本人がずっと信じこんでいた「マック式」と呼ばれるスタイルが間違いであったと理解されるようになったのである。

「マック式」とは、腿を高くあげて前方にふりだし、地面を強く後ろへ蹴る、という走り方である。東京オリンピック後に招へいされたゲラルド・マックというコーチの説明が誤訳されて広まり、「正しい走り方」として教え込まれてきたものだった。後にマック氏自身が、日本での誤解の広まりを知って驚き、来日して訂正のために奔走したこともあったそうだが、それでも状況は変わらなかったという。

まさに迷信だったわけだが、その理論が間違いであることは、諸国の優れたアスリートたちが実際に走っている姿を分析することによって初めて明らかにされ、その後、理論的にも説明ができるようになった。

高橋佳三氏によれば、日本人と欧米人の陸上選手の走法の大きな違いは、足首の使い方にあるという。

「日本人は足が地面につくときも、足首やひざをいったん曲げてから伸ばして、地面を後ろへ蹴って走るんですが、欧米の選手は、足をついたときの足首やひざの角度のまま前に出ます。足首を曲げて伸ばす動きで出せる力なんてたいしたことないんで、固めておいて前に出したほうがずっといいんです。だから、足をあまり高くあげることもない。日本ではよくもも上げをやらせましたが、上げるより、下げるほうが大事だったんですね。足がついて身体を前に出す瞬間だけ、力が入ればいいわけです。その後は後ろに流れても無駄だから、すぐに引き上げます。だから、足首を固めて使うんです」

このように説明されてみれば、ももを高くあげることも、足で強く蹴ることも、早く走ることの役にはたたず、むしろ妨げになることは明白で、なぜ、そんなことが長年信じられていたのか不思議なくらいである。
だが、日本の陸上競技会の常識として、「マック式」は、選手たちの身体を縛り続けてきたのである。


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posted by YenGood at 20:24 | Comment(0) | 武道、格闘技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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