2010年04月25日

[書評]創価学会

410610072X創価学会 (新潮新書)
新潮社 2004-06

by G-Tools


評価 ☆☆☆(五段階評価)

創立者の牧口常三郎から、現在に至るまでの創価学会の歩みを追った本。

誰もが知っている巨大宗教団体ながらも、知らないことが多く参考になった。

創価学会の発展した最も大きな理由を、著者は戦後の高度成長時代にあると指摘している。
農村から、都市部へ流入してきた労働者階級の「もっと豊かになりたい」という欲望に応えたのが、現世利益をうたっていた創価学会だったというのである。

つまり、創価学会の信者というものは、共産党支持者と『客層』がかぶっていたということだ。
そして、この信者獲得に勝利したのが創価学会であることは誰の目にもあきらかだろう。

最初に書いたように、私には知らないことが多かったので、とても面白かったのだけれど、宗教に詳しい人などには、今さら感があるかもしれない。

また、創価学会を否定するのでも肯定するのでもなく、客観的に論じたいという著者の姿勢があるので、なにがしかの攻撃材料を探している人にはつまらないと思う。



タグ:星3つ
posted by YenGood at 14:14 | Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月24日

[映画感想]バタフライ・エフェクト

B000AM6R00バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]
エリック・ブレス
ジェネオン エンタテインメント 2005-10-21

by G-Tools


評価 ☆☆☆☆(五段階評価)


2004年のアメリカ映画。
時をさかのぼれる能力があることに気づいた青年、エヴァンは自分のせいで不幸に陥った幼馴染の女の子、ケイリーを救うために、何度も人生をやり直す。

アニメ版「時をかける少女」みたいなプロットなのだけれど、時かけのほうは2006年公開なので、この映画が元ネタになった可能性高し。

時かけが、あくまでさわやかな青春映画としてウェルメイドな出来だったのに対して、これはちとどぎつい。
主人公が不具者になっていたり、幼馴染の女の子が売春婦になっていたりと、ろくでもない人生の数々。

もっとも、ここらへんは好みの差でもあり、人生のやり直しのきかなさというものを表現するには、このくらいどぎついほうがいい、という意見もあるかもしれない。

日記を見ることで、過去に帰ることができるというのは、ちょっとリアリティがないような(リアリティといってもあくまで映画的な)気もしたけれど、プロットのアイデアはたしかにすばらしいものだと思った。

エンタメとしての出来なら、アニメ時かけのほうが上だとは思うけれど、ここらへんは後発なりの利点ってものかな。









タグ:星4つ
posted by YenGood at 20:32 | Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月11日

「執拗な繰り返しが生む必然性」感想:東野圭吾「手紙」


手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 文庫




弟を大学に進学させたいがために、強盗殺人を犯した兄。刑務所に服役している兄からは一ヶ月に一回、手紙が届く・・・・。

この小説の中では、肉親に犯罪者を持つ主人公が社会から拒絶されていく様子が何度も何度も、繰り返されている。
それは、ちょっとしつこくすらあるけれども、ストーリーの必然性を担保するためにはどうしても必要な営為なのだ。

主人公は決して、品行方正な行動をとるわけじゃない。いや、むしろ、人を不快にさせるような行動を多くしている。

おそらく、この小説のプロットだけを読めば、たぶん、大方の人たちは主人公に反感を抱くだろうと思う。それは、われわれが新聞記事で殺人事件を読むとき、ある程度の距離をとっていることと似ている。

しかし、この小説を読んだとき、主人公の一種、卑劣とも思えるような行動の数々が、すんなり腑におちる感覚がある。
それは、しつこいほど社会から拒絶されてきた主人公の心理の傾きがわれわれ「普通の人間」にも納得いくだけの動機を指し示しているからだ。

「小説を読めばいろんな人間の心理を理解できるようになるから人生を豊かにする」みたいな一般論がある。僕は決して、その見解に与するっものじゃないけれど、たしかに、この小説は、そうした見解を負強するだけの力はある。たしかに、こういう状況におかれたら、自分だってこういう行動をとるだろうなってのが納得できたってことだ。

つーかさ、ラストシーンで泣いたわ。





posted by YenGood at 19:35 | Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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